50歳からのアニメ

国際化したアニメを昭和世代から再評価してみます。

アニメ「転生したらスライムだった件」第2期第1部を視る(ネタばれ有り)

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転生したらスライムだった件」は伏瀬先生によるラノベで「小説家になろう」で無償で公開され、2015年10月に既に完結している。
https://ncode.syosetu.com/n6316bn/

アニメの第一期(全25話)は2019年3月に放送終了だったから約2年間の間隔が開いてからの第二期開始となる。
実は原作小説もコミックも大好きな作品で既刊は全巻購入済みなのだがアニメはハッキリ言って好きではない
同時期に公開されている「Re:ゼロから始める異世界生活」第二期の公開が大変待ち遠しかったのに対して、転スラに対してはハッキリ言ってテンションがかなり低い。
第一期の監督(菊地康仁)か演出(脚本:筆安一幸)かは知らないが原作を無意味に改ざんして内容が「グダグダ」になっているからだ。

具体的にはアニメの第一期ではカリュブディスを倒した後、いきなり、イングラシア王国へ旅立っているのだが、原作では、獣王国ユーラザニアとの交流や武装国家ドワルゴンへの再訪(ドワルゴ王の招待)を経てからイングラシア王国へ旅立っており、時間軸が急に進んだせいで主要登場人物との関わりに整合性がとれなくなっている。

例えば、シズさん(井沢静江)の遺志を継いでイングラシア王国に子供達を救うために向かい、スカイドラゴンが都市を襲った際、討伐したシーンがある。(第一期 第21話「シズさんの教え子達」)
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この時、ガルド・ミョルマイルというブルムンド王国の大商人を期せずして救うことになるのだが、アニメではミョルマイルという商人が何の脈歴も無くリムルとその教え子達を食事に招待するというシーンに発展する。
ミョルマイルが情報収集に長けているという理由でスカイドラゴンを討伐した魔人らしき人物をリムルだと断定して招待したという説明になっているが、リムルがスカイドラゴンを討伐する前にわざわざ変身して身バレしないよう対処したシーン(カット)があるのに、初出の正体不明の商人の招待に応じるリムルの対応にものすごい違和感を感じる。

原作ではブルムンド王国とジュラ・テンペスト連邦国(魔物の国)の仲介役であるブルムンド王国ギルドマスター「フューズ」の紹介で、リムルが作った回復薬の商談を引き受けているのがこのミョルマイルという商人で何度も魔物の国を訪れているだろうことから、(小説第4巻第五章「召喚された子供達」)違和感が無いのだが、ミョルマイルとの出会いを微妙に変えざるを得なかったのは、カリブディスを倒した後の交流を省略した「ツケ」が出てきたと考えられる。
そして、第一期第23話「救われる魂」では、リムルと子供達の別れが描かれてしまっており、この直後におこる大事件に必要な登場人物が全く出てきていない状況で話をどう進めるのか、甚だ不愉快な想いを抱いたのを覚えている。

第二期は監督が変わっているので少しは期待したのだが、いきなり、第1話(第24.9話)がヒナタ・サカグチというタイトルなのに、単なる長々とした振り返りシーンとなり、これからの展開に結構重要な位置を占めるヒナタの説明が何も無いのには驚いた。第一期23話の後半は殆ど振り返りシーンだし、第一期最終話「閑話 ヴェルドラ日記」の全てが振り返りだったし、ハッキリ言って、そんなの描く暇があるのなら原作への回帰を図って欲しいと思う。

そうこうしているうちに、第一期の第23話を無視するかのように、第二期では、第26話「獣王国との交易」やドワルゴンへの再訪を描いた第27話「楽園、再び」が放映されてしまい、時系列が全く判らなくなってしまった。

イライラするシーンは他にもある。例えば、第25話「リムルの忙しい日々」ではリムルが土産に変態したり様々な衣装に着替えるというシーンがあるが、『このシーン必要か?』と思う。
第二期はこの1月に放送開始のものと7月に放送開始のものに別れているらしいが果たして視る価値があるのかどうか甚だ疑問である。


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以下、ネタばれ有り
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原作ではイングラシア王国の帰り道にリムルがヒナタに襲われ、全く時を同じくしてテンペスト連邦国もファルムス王国からの侵略を受け、シオンやゴブゾウといったリムルの大切な仲間が死亡する。
死者蘇生を行うためにリムルが魔王となる決意をするのだが、果たして原作小説もコミックも読んでいない人は、いきなりの展開に戸惑わないだろうか?
少なくとも私がアニメだけを視ていたら駄作だと判断していたかもしれない。
原作を読むことを強くお勧めする。

原作小説は第17巻まで刊行されているが、カリュブディス討伐以降リムル魔王誕生までは、第4巻と第5巻を読めば良い。
コミックは現在第16巻までが刊行されており、カリュブディス討伐が第8巻に描かれている。
その巻末にリムルがシズさんの遺志に触れ子供達に会いに行かないといけないと独白するシーンがある。
ひょっとしたら、コレを読んで第一期を制作したのかもしれないが、そうだとしたら原作をないがしろにすること、極めて遺憾である。
リムル魔王誕生までは第15巻までだが、魔王へ進化したことによってヴェルドラが復活するシーンがあるのが第16巻なので、そこまで読み進めることをお勧めする。

原作小説

コミック

第28話で連邦国入りするヨウム一行のミュウランは第26話の最後に示されているとおり魔王クレイマンのスパイだが、ヨウムに惚れ、ヨウムがファルムス王国を策略により乗っ取りファルメナス王となった際は、王妃として外交等を仕切ることになる。
個人的にはリムルが魔王に進化するところがこの小説の一番の山場だと思っているが、その後の展開に興味がある方は第6巻以降もどうぞ。
原作小説