50歳からのアニメ

国際化したアニメを昭和世代から再評価してみます。

ゼロの使い魔 第22巻 「ゼロの神話」を読む。(ネタばれ有り)

ラノベゼロの使い魔」作者のヤマグチノボル氏が2年間の闘病生活の末、他界され、その後を引き継いだ覆面ライター氏が第21巻「六千年の真実」を刊行したのが2016年2月。
その完成度の高さには驚かされた。
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そして、ついに完結巻「ゼロの神話」が2017年2月に発売された。

完結編の内容については、かなり苦労した後(軽快なテンポが消えている)が伺え、第21巻の時のようにすんなりと「読んで楽しかった。」とは言えない。
「苦労」というのはテレビアニメで一応の完結をみているので、それに引きずられていたのではないかということだ。

テレビアニメ「ゼロの使い魔」として最初に放送されたのが2006年。
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2007年には続編の「ゼロの使い魔 双月の騎士」
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2008年にさらに「ゼロの使い魔 三美姫の輪舞」
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そして、2011年にラノベ第20巻「古深淵の聖地」を発刊したのを最後に執筆活動は停止してしまう。
闘病生活に入っていたということだ。

しかし、どのような事情・背景があったのかは分からないが、2012年にアニメ「ゼロの使い魔F」が発表される。
闘病生活を続けていたとはいえ、ヤマグチ先生がご存命であった期間に発表されたわけだから先生の意思が関与していないことはないと思う。
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アニメ「ゼロの使い魔F」中で描かれていた内容で主なものは次の通り。
①エンシェントドラゴンの復活とドラゴンとの戦いの中で愛剣「デルフリンガー」を失ったこと。
②ルイズ達が虚無の魔法を使い続けることによってサイトが死ぬ可能性が高いこと。
③ルイズの魔法によってサイトが日本に戻ってしまうこと。
④サイトが自衛隊からF15?を盗みだし、日食の機会を利用して、ハルケギニアに戻ってくること。
⑤エンシェントドラゴンをルイズとサイトの2人で倒し、結婚式を挙げ、ルイズの魔法でルイズとサイトが日本に戻り、サイトの実家の呼び鈴を押そうとしているところで物語が終わること。

第22巻「ゼロの神話」でも、デルフリンガーが破壊されるが魂の声が聞こえるということ。
ルイズとサイトが2人だけで日本に渡り、ハーレムエンドが回避されていること。
(もっとも、アニメではルイズの魔法でふたりが日本に渡っているので厳密にハーレムがなくなった訳ではない。)
と、結末は似たような形になっている。

決定的に違うのは、
①滅亡の危機はドラゴンではなく風石の暴走によって引き起こされること。
②ルイズ達の祖先「マギ族」が地球人であること。
③サイトがいちど日本に戻り武器(F15)を持って帰ったという設定ではなく、原子力潜水艦と核が武器としてclose upされていること。
教皇が頑固で意固地な性格なため死ぬこと。(アニメでは自己犠牲でかっこよく死んでいる)
だ。
厳密に言えばエルフ族との関係やマリコルヌが結構目立っていることなど微妙に違う部分もあるのだが、
恐らく、残っていた設定資料やヤマグチ先生がゼロの使い魔Fが発表された後に語った言葉などをもとに組み上げていったのだろう。
最終巻では過去に登場した主要な人物が総出で活躍する。
「ちょっと無理してるな感」もあるが、世界中にファンがいるこのラノベの超大作を、発表から13年かけて完成させた事は偉大な功績だろう。
深く感謝の言葉を述べたい。
名もなき「覆面ライター」氏に。