50歳からのアニメ

国際化したアニメを昭和世代から再評価してみます。

オーバーロード第14巻「滅国の魔女」を読む(ネタばれ有り)

オーバーロードはテレビアニメで第三期までが放送されており私はテレビアニメでこの作品を知り原作小説を購入し始めた。
テレビアニメの放送時期
第1期:2015年07 - 09月
第2期:2018年01 - 04月
第3期:2018年07 - 10月
TVアニメ公式Twitter
twitter.com


作者は「丸山くがね」先生で、小説投稿サイトに掲載されていた作品のようだがWeb(なろうぜ)の方は全く更新されておらず、この作品の最新版を楽しむためには書籍を購入するしかない。
ただ、so-bin先生のイラストのクオリティーが高く、作品も十二分に読み応えがあるので、購入して損をしたという気持ちになることはないと思う。
幸いにも私は2018年3月に第1巻〜第10巻までが一冊500円でKindleから発売されていた時に購入しているので、あまり負担にはなっていないのだが、Kindleでは時々安売りをするので、まとめ買いをするなら少し待った方が良いかもしれない。
haru-z1k.hatenablog.com

さて、第14巻「滅国の魔女」は第13巻「聖王国の聖騎士 [下]」が2018/5/27に発売されてから約二年を経て刊行されたが、アニメの第三期までをみたことがある人ならサラッと読み進めることが出来るかもしれない。
舞台が「リ・エスティーゼ王国」を中心にして描かれているからだ。千円前後する本シリーズだが、物語の中心に長く位置していたリ・エスティーゼ王国との関係が決着したので是非第14巻、出来れば第10巻(帝国関連)を併せて購入して欲しい。

オーバーロード14 滅国の魔女

オーバーロード14 滅国の魔女

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以下ネタばれ有り
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因みにアニメ第三期は原作小説の第9巻までなので、第14巻をいきなり購入しても登場人物や他国との関係が不明なので補足しておく。
アニメ第三期までで、リ・エスティーゼ王国に関した主な登場人物は次の通り。

国王「ランポッサ3世」
 アニメ第三期で忠臣である王国戦士長である「ガゼフ・ストロノーフ」を失って後悔・憔悴している。第一王子のバルブロが行方不明(アインズ・ウール・ゴウン魔導国建国の切っ掛けとなるバハルス帝国との戦争でカルネ村ヘ侵攻した際、遺体も残らぬ形で殺害されている。)なのも憔悴している原因のひとつかもしれない。

第二王子 ザナック・ヴァルレオン・イガナ・ライル・ヴァイセルフ
 第一王子が行方不明、王が憔悴している状態で次期国王が決まっているのだが、帝国との戦争後、協力関係にあった大貴族レエブン侯が領地に篭もりきりになり天才である妹に政策については相談をしなければならない状態になっている。

貴族 エリアス・ブラント・デイル・レエブン
 第二王子推進派として帝国との戦争までは活躍していたが戦争後は自領に篭もっているとして第14巻内でも殆ど登場しない。

第三王女 ラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフ
 第一王女と第二王女は嫁いでおり、本人は王権に拘らないと宣言している。第14巻にはほとんど登場しないが第14巻の最重要人物

王女付き騎士 クライム
 ラナー王女に浮浪児の頃に拾われ、それ以来、王女の命に従って行動している。純白の鎧を纏い騎士としての才能がないと言われているが不断の努力でその辺の騎士よりは十分に強い。

冒険者? ブレイン・アングラウス
 死んだガゼフ戦士長と同等の腕を持つと言われている。登場時夜盗の用心棒らしき存在であったため職業は不詳。セバスと8本指の抗争以来、クライムと共に行動をしており、ラナー王女が設立した孤児院で見込みのある孤児に稽古を付けている。

アダマンタイト級冒険者 蒼の薔薇リーダー ラキュース・アルベイン・デイル(フィア)・アインドラ
 蘇生魔術が使える中二病が少し入った魔剣キリネイラムを所持する神官戦士。蒼の薔薇構成員はマジックキャスターのイビルアイ、戦士のガガーラン、双子の盗賊系冒険者ティアとティナ。

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第13巻で聖王国内にアインズ・ウール・ゴウン(本当の名は「モモンガ」であるが、自分の他に転生者がいると信じてチーム名であった「アインズ・ウール・ゴウン」を名前としている。モモンガに惚れているという設定の階層守護者統括・・・魔導国の地位として第14巻では宰相と名乗ることが多くなった・・・のアルベドには不評)を神格化する団体を作ることに成功?し、次はリ・エスティーゼ王国の番となる。
リ・エスティーゼ王国では裏社会を牛耳る八本指のヒルマを通して着々と計画が進行していたのだが、ある日、予期せぬ出来事が勃発する。
ヒルマが魔導国侵攻の足がかりとすべく傀儡化していたフィリップ男爵が、馬鹿故に予期しない行動・・・魔導国から聖王国への食糧援助用馬車を襲撃・・・に出たのだ。
魔導国はリ・エスティーゼ王国に宣戦布告し、未曾有の大虐殺が始まる。
そして、上記リストのうち、生き残るのはラナー、クライム、レエブンと蒼の薔薇のメンバーだけとなる。

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第10巻「謀略の統治者」

オーバーロード10 謀略の統治者

オーバーロード10 謀略の統治者

目次:プロローグ、第一章 アインズ・ウール・ゴウン魔導国、第二章 リ・エスティーゼ王国、第三章 バハルス帝国、エピローグ

魔導国としてエ・ランテルという町を接収した後、幅広い意見を階層守護者に求めるアインズ。
冒険者組合を国の機関として位置づけ、アンデットや異種族を国民とする国の形を明確化していく。
一方、戦争に負け大きな負債を背負ったリ・エスティーゼ王国ではラナ王女による孤児院建設、そして、アングラウスによる孤児達の修行が始まる。
アルベド使節団代表として王国に乗り込み、王派閥や貴族派閥に属さない新派閥作りのため、フィリップ男爵という戦後の棚ぼたで爵位を得た馬鹿を恐怖候によって支配した八本指のヒルマを使って「持ち上げる」ことにした。この巻でラナー王女が既に魔導国と協力関係に有り、いろいろと裏工作と魔導国との戦争という環境作りのために暗躍していることが描かれている。第14巻の舞台はラナーが描いたもので有り、第14巻のタイトルである「魔女」とはラナーのことを指しているということがこの巻を読んでいれば理解できる。
また、この巻でスレイン法国が帝国と王国の戦争、魔導国の評価、冒険者モモンとアインズ・ウール・ゴウンの関係を考察しているシーンが描かれており、ここでの登場人物は押さえておきたい。
あまりの強大な力を見せつけられた帝国では皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスがスレイン法国との連携を画策していた。
ところが、法国の代表と密会する場所として選んだ闘技場に魔導王が参加者として出場し、ジルクニフと法国の代表が顔を合わせている現場に挨拶した。
法国の代表は帝国の謀略だと決めつけ、ジルクニフは改めて魔導王の得体の知れない智謀に恐怖し、帝国は魔導国に隷属することを告げる。


第11巻「山小人の工匠」

オーバーロード11 山小人の工匠

オーバーロード11 山小人の工匠

目次:プロローグ、第一章 未知なる地への備え、第二章 ドワーフの国を求めて、第三章 迫りくる危機、第四章 こうしょう、第五章 霜の竜王、エピローグ

魔導国の主要産品としてルーン文字が刻み込まれた武具に目を付けたアインズはデミウルゴスアルベドと相談することなくアウラ、シャルティア等を連れドワーフが住むという山にやってくる。
そこでドワーフたちが、フロスト・ドラゴンに支配されたクアゴアという種族に滅亡寸前まで追い込まれていることを知る。
そして、フロスト・ドラゴンとクアゴアを武力で圧倒・支配し、ミスリル加工技術をもつドワーフ職人の魔導国へ移住させることに成功する。


第12巻「聖王国の聖騎士【上】」

目次:第一章 魔皇ヤルダバオト、第二章 救いを求めて、第三章 反攻作戦開始

第13巻「聖王国の聖騎士【下】」

目次:第四章 攻城戦、第五章 アインズ死す、第六章 銃兵と弓兵、第七章 救国の英雄、エビローグ

聖王国攻略のため、ヤルダバオトデミウルゴス)に亜人達を率いらせ聖王国北部のみを侵略させ、救援としてアインズが単独で聖王国に向かう。(マッチポンプ
もともとアンデッドに忌避感を持つ聖王国民だが、絶望的な状況の中、役に立たない自国の聖騎士より活躍するアインズに少しずつ恩を感じていく。
アインズはルーン文字を刻んだ武具をアインズの従者として付けられた目つきの悪いネイア・バラハ(二つ名:犯罪者瞳)に与え宣伝に活用しようと考えていたのだが、彼女はアインズのそばに仕えているうちにアインズこそが偉大なる王だとして新興宗教団体みたいなものを作り上げ、教祖的な位置に付く。
ヤルダバオトを退け、ヤルダバオトが支配していたという設定だった戦闘メイド集団プレアデスを公に支配下に置く。(今回はシズが大活躍)
そして復興援助として、第14巻の事件の発端となるリ・エスティーゼ王国経由の魔導国から聖王国への食糧援助が始まる。