50歳からのアニメ

国際化したアニメを昭和世代から再評価してみます。

図書とマンガの時代

小学生の頃は、ほとんど毎日テレビを見ていたテレビっ子だった気がする。
私は自分の経験から子供の読書嫌いは、学校の先生と国語および歴史教育に原因があると思っている。
私が、読んでいる本の作者や時代の背景を考えながら読めるようになったのは、「自分でものを書く」ということを身につけてからだ。
それまでは読んで楽しければそれだけで良かった。国語の授業が、「本を読んで楽しい」という気持ちを萎えさせている。
歴史は、年号の数値を「正確に」覚えるのにどれだけ意義があるのだろうか。
そういえば、無理矢理覚えさせられた鎌倉幕府成立1192(いいくに)は1185(いいはこ)に変更されたし、惑星の配置「水金地火木土天海冥」でさえ変わっている(2006年まで冥王星は太陽系の第9惑星とされていた)。
暗記力を鍛えたいのなら「競技かるた」の授業を設ければいい。最近、見た「ちはやふる」というアニメで記憶力の良い高校生が「忘れること」の難しさに苦しむ様が描かれていたが、多くの50代の人は、自らの経験から、忘却力も暗記力と同じくらい大事だと知っていると思う。
私の経験では、部下に法の執行にあたり、根拠となる通達を説明していたところ、その通達がすでに10年以上近く前に廃止になっていたことを忘れてたことがある。入省した頃(若い頃)に一生懸命勉強して覚えたものは、歳をとっても結構覚えている。

ちはやと覚える百人一首 「ちはやふる」公式和歌ガイドブック

ちはやと覚える百人一首 「ちはやふる」公式和歌ガイドブック

中学2年で転校した際、ふたつの中学校の歴史授業は教育方法がまったく異なり、いきなり、授業について行けなくなった。
前の学校では日本史を先行して年代順に何が行われたかを主とした授業を行っていた。
転校先の中学校では、年号丸覚え授業で、日本史も世界史も、年号と出来事を覚え、時間軸の前後を把握した上で内容を把握する授業をやっていた。
どちらが受験に有利かといえば転校先の学校だろう。事実、O田中学は当時、北九州市内で、有名高校への進学率が上位の学校だった。
前の中学では、5分の休み時間でも校庭に出て遊ぶ生徒がいたのに、新しい中学では昼休み時間でも生徒が勉強している中学校だった。
学級に英語だったと記憶しているが、小テストの結果表が張り出されていて、クラス全員の順位付けがされていた。成績下位者を小馬鹿にする同級生が大勢いた。
おもちゃは見つかり次第没収、告げ口が横行していたが、成績優秀者は「おとがめなし」のいびつな中学校だった。

前の中学校では番長グループが存在していて、暴行や恐喝といった「いじめ」というより「犯罪」が横行していたが、新しい中学校では女子による集団無視等の弱い者「いじめ」が横行していた。
私は、今の、教育を施す側に都合が良いように調整されている教育システムでは「いじめ」は絶対に無くならないと思っている。

私は、授業に関係ない「遊び」を学校に持ち込むとして、よく職員室の廊下前に座らされていた。
おかげさまで、この頃から図書館の本を借りて読むようになり、ハヤカワSF文庫の本を中心に読むようになったが、成績はそこそこだが歴史と国語の大嫌いな中学生が誕生した。

高専に進学してからは夏休みにバイトするようになるが、化学の専門書の値段は高く、また、ワンダーフォーゲル部に入部したため、いつもお金に困っていた。
必然的に図書館の利用は増えた。しかし、年間約300冊も借りていれば、図書館にあるSFはほとんど読み尽くしてしまいコナンドイルやアガサ等の推理小説へと趣味を広げた。
不思議なもので中学生時代見るのも嫌だった太宰や芥川等の日本文学も読むようになり、次第にロシア文学やヘミングウェイ等海外文学も読破するようになった。
ノンフィクションで見つけたベトナム戦争の本は衝撃だった。中学校で全く習わなかった歴史がそこにあった。
司馬遼太郎などの歴史小説も読み始めた。
高専時代、本を読むのに相当の時間を費やしたおかげで、やっと、普通の人と同じくらいの歴史観や国語の力をつけることができたような気がする。

項羽と劉邦 (上) (新潮文庫)

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項羽と劉邦〈下〉 (新潮文庫)

項羽と劉邦〈下〉 (新潮文庫)

閑話休題。
当時の宇部高専は1年および2年生は全寮制で、白鳥寮というところに住んでいた。
ほとんどの学生は山口県内に実家があり、北九州市から来ているのは私だけだった。
下関だったと記憶しているが山口県内にSLの基地があり、ニュースでSLが廃止になったとアナウンスされていても、電車に乗ると下関駅付近必ず目にすることができたので不思議な感じがしていたのを覚えている。
結局、SLは卒業前に当時の国鉄が山口線に復活させたので、私の学生時代、私の前からSLが消えることはなかった。

SL山口号というのが走っているのでその運行情報が載ったホームページを紹介する。
http://www.c571.jp/

週末になると多くの学生が実家へ帰省し、日曜の夜に寮へ戻ってくる。
私のような貧乏人は、夏休み等の長期休み以外は帰省しなかった。
国鉄が大赤字で、毎年のように電車賃が倍々と値上げされたためだ。
国鉄労組による「スト権スト」があったのもその頃だ。確か、乗客が暴動を起こした事件もあったと覚えている。

多くの学生が電車の中で暇つぶしのためにマンガを買って帰ってくる。
そのため、1975年から1980年にかけての少年マンガは、ほとんどすべて読破しているが、松本零士先生の作品を除いて、他の作品は、あまり内容を覚えていない。
私にとってマンガとは単なる時間つぶしの手段に過ぎなかったし、たぶん、今でもそれは変わらない。

さて、「男おいどん」の惨めな世界が、自分にマッチしていたのかもしれないが、「キャプテンハーロック」を読むためだけに当時あまり人気の無かった「プレイコミック」という雑誌だけは自費購入していた。
宇宙戦艦ヤマト」「さらば宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」は映画館へ見に行ったのを覚えている。
たしか、就職した後に「さよなら銀河鉄道999」を劇場で見たはずだ。お金が無かったのせいで、他の劇場版作品は見ていない。
それまで絵の具を塗りつぶしただけのような宇宙を描いているアニメばかりだったが、松本零士ワールドで神秘的な宇宙を感じることができ、これ以上の表現はできないだろうなと、友人たちと語らったのを覚えている。

宇宙戦艦ヤマト 劇場版 [Blu-ray]

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さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅- [Blu-ray]

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余談だが、
寮に5年も一緒に住んでいるとお互いに良いところも悪いところも見えてくる。
特に寮生活では1年から2年にかけて「早朝体操」という名のしごきがあり、常磐湖一周走、サーキットトレーニング、高専エッサッサをした。
私は随分と反吐を吐いて倒れたが、この時のしごきに耐えたという事実が今でも心の支えになっている気がする。
この頃に巡り会えた親友とは今でも交流が続いている。
宇部市内の居酒屋で、「将来の夢」「希望」「理想の女性像」から「マンガやアニメの寸評」まで、いろいろな話をした。
スナックではハチトラのカラオケがあったが、私たちは宇部市内から白鳥寮までを徒歩で移動する間自分たちの好きな歌を歌った。
私がよく歌った歌は、いるかの「なごり雪」とオフコースの「愛を止めないで」だった。
夜中に大勢の学生が大きな声で歌いながら歩く。さぞかし、迷惑な話だったろう。
m(_ _)m
ちなみに私は、いまでも小田和正のファンだ。
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